フィルタ

昨日、一斉下校があり、校長室を一歩出ると、ほのかに甘い香りが漂ってきました。校長室の向かいの中庭には、金木犀の木が植わっており、この香りの源は、そこだったようです。私は、この香をかぐといつも秋の到来を実感します。一斉下校では、最後に校長の話のコーナーがあり、その話題もすでに決めていたのですが、「今日は金木犀しかない!」と思い、金木犀の小枝を一本切って持って行き、その小枝を見せながら金木犀について少しだけお話をしました。子どもたちも金木犀の香をかいで、秋を感じてほしいという思いからです。

秋を感じるものは、それだけではありません。和気では、今、彼岸花が一斉に咲き誇っています。稲刈り前の稲穂のうす茶色と彼岸花の燃えるような赤のコントラストが美しく映えています。空を見上げると、いつのまにか秋の雲が多く見られるようになってきました。晴れた日は、青空がどこまでも透き通っています。

和気は、自然豊かなところだからこそ、なおさら自然のすばらしさを感じるのでしょう。和気は、都会からの移住者が多いと聞きます。私も直接、移住者からお話を聞いたことがありますが、和気の魅力の一つに、「自然の豊かさ」を挙げらる方が多かったようです。この豊かな自然の中で、子どもたちの心も体もすくすくと育ってほしいと思います。

 

日本人は、勤勉、謙虚、礼儀正しいなどと世界から評されることがあります。このどれもが私たちが美徳として大切にしてきたものです。これは、日本の長い歴史、文化、教育の中で日本人に根付いてきたもので、国民性と言い替えることもできます。日本で生まれ育つと自然にそのような国民性が身に付きやすくなります。日本にはそのような空気が漂っていて、小さいときからその空気を吸っているからです。「朱に交われば赤くなる」とほぼ同義でしょう。

この空気は、それぞれの地域や家庭にも独特のものがあります。同じように、学校にもその学校独自の空気が流れています。学校では、意図的・計画的に教育を行っていますが(カリキュラムに沿った教育)、それとはあまりかかわりなく、子どもたちは学校の空気を吸って育っているという側面もあります。例えば、あいさつを活発にする空気が流れている学校ならば、子どもたちはそれが当たり前のように自然に活発にあいさつをすることができるようになります。その逆もしかりです。

ですから、学校は、よい空気をつくっていくことが大切です。互いによい影響を意識的にも無意識的にも与えながら、共に育つ環境です。

 

先日、小惑星「りゅうぐう」から日本の探査機「はやぶさ2」が持ち帰った砂の中に、アミノ酸の存在が確認されたことが報道されていました。アミノ酸は、生物の体をつくるもととなる物質で、それが宇宙に浮かぶ小惑星から発見されたことは、地球上の生命は宇宙からやってきたとする説を後押しするものだとして大きく取り上げられていました。

太古の出来事を物証をもって証明するのは、極めて困難だとは思いますが、わたしたちはひょっとして宇宙からやって来たのかもしれない、と思うとロマンを感じます。そして、現代、人類は科学技術を発達させ、探査機を天体に向けて飛ばすことができるようになりました。また、人間も月までは到達することができるようになりました。近い将来には、火星に降り立つこともできるでしょう。さらに、数十年、数百年先になると、太陽系外への宇宙旅行も可能となるでしょう。

こうしてみると、人類は、宇宙に向けて自分たちの歩みを進めていっているように見えます。しかしこれは見方を変えると、わたしたちの体に宇宙へ戻ろうとする帰巣本能が組み込まれているからなのかもしれません。

梅雨の晴れ間には、すでに夏の星座が輝いています。家族そろって、夜空を眺めてみるのもいいですね。

 

 

 ゴールデンウイークの後半、我が家の庭に出て、久しぶりに草抜きをしました。草は、人間が種を蒔いたわけでもなく、肥料をやったわけでもないのに、勢いよく伸びてきます。その生命力にはいつも驚かされます。しかしながら、この生命力があるからこそ、食物連鎖のピラミッドの底辺で、地球上の生命を支えることができます。庭に生える草は、少々やっかいなものですが、そうした見方をすれば、草の恩恵を感じずにはおれません。

 また、草を間近で見ると、草の生きるための戦略に気付かされます。あるものは、すっと高く伸び、またあるものは背丈は低いものの地べたを広く覆うように葉を広げています。いずれも日光をより有利に獲得しようとする戦略でしょうが、その方法は草の種類によって異なります。草もそれぞれ知恵を絞り、生きるためのさまざまな方法を編み出したようです。生存競争のなせる業です。

 さて、わたしたち人間はどうでしょうか。人にはそれぞれ個性があります。しかもその個性は、みんな違っています。まさしく十人十色です。一時「みんな違ってみんないい」という言葉が流行りましたが、人は、それぞれ違ったよさをもっています。自分にはないよさを自分以外の誰かがもっているのです。ですから、人同士が互いにかかわりを深めながら、豊かに生きていくことが大切なのだと思います。

 草は、生存競争に勝ち抜かなければなりませんが、人間は、他と協調しながら豊かに生きていくことが大切なのでしょう。 

学校給食は、戦後の子どもたちの栄養不足を補うために始まりました。栄養バランスがよく、温かくておいしくいただけます。また、国からの補助があるため、家庭への経済的負担が少ないのも魅力です。給食週間は、毎年1月下旬に全国一斉に設定されており、その間に本校では、給食に関してお世話になっている方々に、感謝のお手紙を書く活動に取り組んでいます。私たちは、当たり前のように毎日ものを食べて生活していますが、よく考えてみると1日3食欠かさず食べられることは、実にありがたいことです。また、食べ物が、わたしたちの口に届くまで、どれだけ多くの方々がかかわってくださっているか、しっかりと考え、感謝を念をもって食べ物をいただくことが、とても大切であると思います。食事のときの「いただきます」も「ごちそうさま」も感謝の気持ちから出来上がった言葉です。この給食週間を機に感謝していただくことのできる子どもに育ってほしいと考えています。